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虹彩認証

虹彩認証とは

虹彩認証とは、瞳の瞳孔の周辺にあるドーナツ状の模様によって認証する方法です。虹彩の中の筋肉の働きによって瞳孔の開き具合を調整して、眼球内部に入る光の量を調節します。

虹彩の模様は遺伝的な影響がほとんどなく、個体によって異なるため個人認証に適しています。本人の右目と左目でも異なるので、それぞれの目で認証可能です。加えて、虹彩は2歳以降は経年変化せず不変である点も認証方法として優れています。

虹彩認証の大きなメリットは、本人ではないのに本人と認識してしまう確率「FAR(他人受入率)」が各種生体認証の中で最も低い点です。認証速度と認証精度が高く、双子でも容易に識別できます。また、帽子・メガネ・マスク着用のままハンズフリーで認証できる点もメリットといえるでしょう。タッチパネルに触れる必要もなく衛生的な認証方法です。

虹彩認証の導入例

虹彩認証は、さまざまな場所やシーンで活用されています。

国際空港の出入国管理

国際空港のパスポートコントロールや、セキュリティチェックなどの出入国管理において、虹彩認証が導入されているケースがあります。撮影した虹彩を政府機関データベースと照合し、素早く厳格に本人確認を行います。国際空港のテロの脅威が高まる中、虹彩認証の導入によってセキュリティの向上とスムーズな本人確認につながるでしょう。

国民ID

国民IDとは、すべての国民に法的な身分証明を提供し、社会保障や税金などにおける利便性の向上を図る制度です。そんな国民IDのセキュリティ向上と、サービスの高度化に虹彩認証は役立ちます。

具体的には、IDを重複なく発行するための認証情報の一つとして、虹彩認証は活用されています。IDカードが不要で高い精度での認証が可能な点もメリットです。

実際インドでは、指紋認証・顔認証と虹彩認証を組み合わせた生体認証によって、1日に最大200万件の国民ID登録を行った実績があります。公共福祉サービスの充実と、不正行為の減少に貢献しています。

スマートフォン

一部のスマートフォンでは、本人認証用に虹彩認証が導入されています。日本国内ではあまり普及してませんが、ほかの生体認証と比較して高精度で、かつ認証速度も1秒未満と速いのが特徴です。

補足

虹彩認証を導入する際の注意点として、一定の距離を取ってカメラに顔を向ける必要があるため認証距離に制限が生じる点があります。また、目の乾燥や照明などが認証精度に影響を与えるケースも考えられます。利用者の状態や使用環境によっては、認証精度が低下する恐れがあるのです。

海外では導入事例も多い虹彩認証ですが、日本での普及率は高くありません。主な原因としては、ほかの生体認証に比べて導入コストが高い点が挙げられます。

また、虹彩を撮影するための専用カメラモジュールに加えて、虹彩認証エンジンと制御アプリなど、製品化に高いコストがかかります。そのため、国内で虹彩認証技術を研究開発している企業が少ないのが実情です。

今後、国内で研究開発を進める企業が増えてコストが下がった場合は、日本においても虹彩認証の導入が進むと考えられます。

生体認証に関連する用語一覧

セキュリティ
生体認証
指紋認証
顔認証
静脈認証
声紋認証
耳介認証
DNA認証
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