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磁気カードの仕組みやメリット・デメリットを解説!ICカードとの違いも紹介

  • 磁気カードの仕組みやメリット・デメリットを解説!ICカードとの違いも紹介

    ICカード認証

  • 2023.10.10

カードの上部に黒い帯状の線が入っているものが磁気カードです。キャッシュカードやクレジットカード、ポイントカードなどさまざまな用途で利用されています。近年ではICカードが普及していますが、磁気カードの仕組みやICカードとの違いがわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、磁気カードの仕組みや規格などについて詳しく解説します。メリットやデメリット、注意点も紹介するので利用を考えている方はぜひ参考にしてください。

磁気カードの仕組み

磁気カードとは、磁気にデータを記録して専用の端末で読み取るカードです。磁気のS極とN極を利用してカードに情報を記録します。カードの種類によって見た目が異なり、カードに黒い帯のような磁気ストライプを貼り付けたタイプや、カード全面に磁性体を貼り付けたタイプがあります。

磁気ストライプや磁性体には磁力で動く小さな粉末が付いており、磁石のS極とN極の向きで文字を表す仕組みです。S極とN極の並びは「0」、N極とS極なら「1」を表しており、0と1の並び方でどの英数字を示しているか決まっています。

ICカードとの違いは?

磁気カードとICカードでは、情報の記録方式が異なります。ICカードは、内蔵されたICチップが読み取り端末を通して通信を行う仕組みです。

カードのセキュリティレベルや記録できるデータの容量にも違いがあり、どちらもICカードの方が優れています。また、ICカードには、クレジットカードのように磁気ストライプとICチップの両方が取り付けられているカードもあります。

なお、クレジットカードに磁気ストライプとICチップの両方が取り付けられている理由は、磁気ストライプのデータを抜き取る犯罪が問題視され、改正割賦販売法によりクレジットカードのICチップの取り付けが義務化されたためです。

日本と海外で違う!磁気カードの4つの規格

磁気カードの規格は、国際規格(JIS1)日本独自の規格(JIS2)の2種類に分けられます。JIS1にはトラック1〜3の3タイプがあり、アメリカやヨーロッパなどで流通している規格です。JIS1は国内では使用されていません。

また、国際規格は磁気面がカードの裏、日本独自の規格はカードの表と決まっており、カードに書き込める文字数も下記のように異なります。

  • JIS1 トラック1(IATA):72~79文字(英数字)
  • JIS1 トラック2(ABA):40文字(数字のみ)
  • JIS1 トラック3(TTS):107文字(数字のみ)
  • JIS2(日本独自の規格):72文字(英数字)

日本の磁気カードのデータ容量は?

磁気カードの容量は規格によって決まっており、書き込めるデータの文字数はカードの容量が影響しています。日本で流通している磁気カードの場合は、データ容量が69〜72バイト程度で、72文字の英数字を記録できる仕様です。

また、磁気カードはICカードと比較すると、データ容量がかなり少ないといえます。ICカードの容量は1000バイト以上です。そのため、近年では磁気カードよりも多くの情報を記録し、管理できるICカードが主流になりつつあります。

磁気ストライプの位置

カード上の磁気ストライプの位置は規格によって決まっています。日本独自の規格(JIS2)における磁気ストライプの位置は、以下の通りです。

  • カード上端から6.4mm以下
  • カードの両端から1mm以下
  • ストライプ高さ11.6mm以上

キャッシュカードやクレジットカードの中には、規定の位置に磁気ストライプがないものがあります。しかし、実際は磁気ストライプがついており、カードのデザインを保つために特殊な加工がされています。

保磁力による耐久性の違い

磁気カードには磁気に弱いタイプと強いタイプがあり、保磁力の違いによって以下のように名称が分かれています。

  • 低保磁力のLo-Co(Low Coercivity)カード
  • 高保磁力のHi-Co(High Coercivity)カード

Lo-Coカードは、磁力の影響を受けやすいタイプです。磁気への耐久性が低く、スマートフォンなどの電子機器の影響で、カードが読み込めなくなる場合があります。

一方、Hi-Coカードは保磁力が高いため磁力への耐性があり、長期間使用する場合も磁気のトラブルが少なく利用しやすいタイプです。

磁気カードの種類

磁気カードは、構造の違いによって大きく2種類に分かれています。ここでは、磁気カードの見た目の特徴や利用例の違いについて解説します。

1.磁気ストライプカード

磁気ストライプカードは、カードの上部に帯状の磁気テープが貼り付けられているタイプです。キャッシュカードやクレジットカード、病院の診察券などに利用されています。

データの読み取り時は、専用の端末に磁気ストライプ部分をスライドさせて使用します。また、磁気ストライプカードには厚みがあり、簡単には折れない構造です。

2.全面磁気カード

全面磁気カードは、裏面が磁性体で覆われているタイプです。QUOカードやポイントカード、プリペードカードなどに利用されています。

保存できるデータ容量は磁気ストライプカードと同じですが、磁気ストライプカードよりも薄く、簡単に曲がる構造となっています。また、データの読み取りや書き込み時には、専用の端末にカードを挿入する仕組みです。

磁気カードのメリット

ここでは、磁気カードのメリットを2つ紹介します。磁気カードには、ICカードにはないメリットがあります。磁気カードとICカードを比較しながらみていきましょう。

メリット1.カード本体と専用端末のコストが低い

磁気カードの大きなメリットは、低コストで運用できる点です。製品によってはICカードの半分以下のコストで済むものもあり、大量にカードを作りたい場合に便利です。例えば、会員カードやポイントカードなどに利用しやすいでしょう。ICカードにはICチップが内蔵されているため、磁気カードよりもコストがかかります。

また、磁気カード本体だけでなくカードを読み取るための専用の端末も低コストで導入できます。コストを抑えてカードを運用したい場合に最適でしょう。

メリット2.簡単に導入できる

磁気カードは複雑なシステム設定などが不要で、専用の端末を設置するだけで利用可能なため簡単に導入できます。顧客情報の管理や、店舗で利用できるポイントの付与などを簡略化したい場合に便利です。

例えば、ポイントカードの場合は、個人情報とポイントの管理が端末1つで完了します。複雑なシステムの導入に不安を感じる場合に利用しやすい点がメリットです。

磁気カードのデメリット

磁気カードのデメリットは、磁気に弱い性質がある点情報を抜き取られるリスクがある点です。それぞれについて詳しくみていきましょう。

デメリット1.磁気不良で使えなくなる可能性がある

磁気カードに磁気を発生させる電子機器などを近づけると、磁気不良が起き情報の読み取りができなくなる場合があります。磁気不良が起きた際は、カードを再発行するなどの手間がかかります。

近年では、普段の生活の中に磁気を発生させるものが多く存在するため、磁気不良のリスクも高くなっており、急にカードを読み込めなくなるケースがある点がデメリットです。

デメリット2.スキミングのリスクがある

スキミングとは、スキマーと呼ばれる特殊な装置でカード情報を不正に抜き取る犯罪行為です。磁気カードが盗まれスキマーを利用されると、キャッシュカードやクレジットカードが偽造され、不正利用される可能性があります。

ICチップの取り付けが義務化される前のクレジットカードでは、スキミング被害が多発していました。磁気カードはスキマーに通すだけで簡単にデータを盗まれてしまうため、セキュリティが脆弱な点が大きなデメリットです。

磁気カードを利用する際の注意点

磁気カードのデメリットを踏まえて、利用する際の注意点を解説します。磁気カードを利用する際は、注意点を把握してトラブルを未然に防ぎましょう。

注意点1.磁気不良を起こさないように注意する

磁気カードを利用する際は、磁気不良を起こさないよう取り扱いに注意しましょう。磁気を発生させるものには、スマートフォンなどの電子機器のほか、バッグや財布の留め金に使われている磁石などがあります。また、磁気カードを重ねて保管すると、磁気不良を起こす可能性があるため注意が必要です。

そして、磁気カードの保管場所に注意しましょう。磁気カードにスマートフォンを近づけたからといって磁気不良を起こすとは限りませんが、保管方法に注意するだけで磁気カードは長持ちします。

注意点2.利用シーンに応じてセキュリティ対策をする

スキミング被害に遭わないためにも、磁気カードの利用シーンに応じたセキュリティ対策が必要です。例えば、重要な情報を磁気カードに書き込まないようにする方法があります。ポイントカードのように重要な情報が必要ない場合は、個人情報を登録しないようにしましょう。

また、磁気カードのセキュリティ面に不安がある場合は、スキミングに強いICカードを利用する方法もあります。ICカードは磁気カードよりも高いセキュリティで守られているため、個人情報などの重要なデータを守りたい場合はICカードの利用を視野に入れましょう。

磁気カードは低コストで導入も簡単!仕組みや注意点を理解して利用しよう

磁気カードは、クレジットカードからポイントカードまでさまざまな用途で利用されており、低コストで導入しやすいのがメリットです。しかし、磁気不良を起こす点やセキュリティが脆弱な点には注意が必要です。

磁気カード利用時のトラブルを避けるためには、磁気の影響や盗難によるスキミングに注意しましょう。また、個人情報の漏洩が心配な場合は、磁気カードよりもセキュリティが高いICカードを利用する方法もあります。利用シーンに応じてカードの種類を選んでください。

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Q&A

Q:磁気カードはどのような仕組みですか?

A:磁気カードには磁気ストライプや磁性体が貼り付けられており、磁力で動く小さな粉末を利用して情報を書き込んだり読み取ったりする仕組みです。磁石のS極とN極の向きで英数字を表します。

Q:磁気カードのメリットは何ですか?

A:磁気カードはICカードよりも低コストで運用でき、導入も簡単な点がメリットです。大量のカードが必要な場合も低コストで導入できます。

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