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和多田印刷株式会社では、印刷という事業の性格上、顧客企業の発表前の新製品情報をはじめとしてさまざまな重要情報を抱えている。特に同社の中核工場である北工場では、人気ゲームカード(トレーディングカード)等のゲーム関連製品の印刷・加工をするなど、顧客の機密情報や市場価値の高い製品を取り扱っている。加えて、最近ではICタグやカードなどを含めたシステム製品の受託開発も進めており、厳格な情報管理が求められていた。同社の和多田久太朗代表取締役は、「顧客企業の重要な情報や製品を預かる立場にあり、それらを安全に保管するセキュリティ体制の確立は、当社にとって最優先の課題の1つになっています」と語る。
同社では、2004年頃から全社規模でのセキュリティ体制の確立について検討を開始、昨年前半、本社において生体認証を利用した出入管理システムを導入したのに引き続き、北工場においても新たなセキュリティシステムの構築に着手した。
同工場の場合、派遣社員やパート従業員も多く入れ替わりも少なくない。また取引業者も頻繁に出入りしているが、これまでは出入を制限しチェックする仕組みはなく、重要な情報などの盗聴や流出も懸念されていたという。このプロジェクトで中心的な役割を担った同社製造本部の松野下大治課長は、「特に発売前のトレーディングカードは、万が一流出した場合、愛好者の間で高額で取引される可能性が高いことから、取引先企業から無断持ち出しの対策を強く要請されました。これに応える意味でも、まず出入管理を徹底して盗難や流出の抑止と従業員のセキュリティ意識向上を図る必要がありました」と語っている。


同社では、北工場のセキュリティシステム導入に当たってベンダーからの提案を募り、比較検討した結果、アート社のV-LINE出入管理システムの採用を決めた。その理由の1つは、オフィス管理支援サービス「AOAS」を利用して、煩雑なカード登録やデータ管理などの運用ができること。これによって、最小限の負荷でセキュリティシステムの運用が可能になる。また、自社製のICカードを利用してセキュリティシステムを構築できる点も決め手の1つになったという。「当社製のICカードを活用したシステムを運用することで、ICカードについてのさまざまなデータを収集できます。それを開発にフィードバックできますし、ICカード活用のモデルケースとして提案にも活かせます」(松野下課長)。
さらに、ネットワーク化が可能な点もV-LINE出入管理システム採用の理由になっている。同社では、北工場のセキュリティシステムをモデルケースとして、その有用性や可能性を試した上で、他の拠点への展開を視野に入れている。その場合、各拠点のセキュリティシステムをネットワーク化して1か所で集中管理することが理想的だ。松野下課長は、「出入管理のシステムではスタンドアロンの製品が多い。もし、それを利用すると、各事業所で個別に運用せざるを得ず、負荷もコストも膨らみます。V-LINEなら、ネットワーク経由での一元管理が可能で、今後、より柔軟に展開できると判断しました」と語る。
出入管理システムの導入準備として、納入業者や配送業者がどこから入場しどのように動いているのかをすべて洗い出した。それをベースにしてチェックポイントの設置場所や受付電話の配置、セキュリティエリアの設定など、効果的・効率的に運用できるようにレイアウトし直した。この作業が最も負荷が大きかったという。また従業員に対しては毎日の朝礼の際に新しい仕組みについて説明し徹底を図った。システム機器の導入・設置は1か月ほどで完了、5月7日から本格運用を開始した。
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| ドア(電気錠)横に設置された非接触式MIFARE(R)
対応カードリーダ「VM-10AG」。汎用性の高いISO標準に準拠。 |
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ICカードをリーダにかざすとデータを読み取り、瞬時に照合して電気錠を解錠する。同時に監視カメラで利用者を動画撮影。 |


北工場のセキュリティシステムでは、1階の出入口や4階までの各フロアの出入口など11扉に入退室用の21台のカードリーダを設置し、入退室を管理する仕組みになっている。従業員や業者は入室する際、個々に配付されたICカードをカードリーダにかざす。カードリーダがICカードのデータを読み取って、出入管理装置の登録データと瞬時に照合し該当すると電気錠が解錠される。退室の際にも同様にカードをかざすことで、入室記録と照合の上、扉が解錠される。万が一、共連れで入室した場合にはデータ照合ができず退室ができなくなる。
また、それぞれのカードリーダと対になって監視用のネットワークカメラが設置されており、入退室時のチェックと同時に、監視カメラで動画映像を撮影する。この撮影映像データは録画サーバに蓄積されており、必要な場合には管理用PC上で入退室のログデータから日時を特定しその時点での映像を再生チェックすることが可能だ。この監視用カメラは出入管理とは別にトレーディングカード加工エリアなどにも設置されており、不審者の侵入や不審な行動のチェックに利用されている。カメラ映像は4階の管理事務所内でモニターされている。
ICカードは同社が製作し、データの書き込みはアート社が担当する。業者用、派遣社員用、ゲスト用などそれぞれの権限に応じたカードを用意し配付している。他の事業所の社員については、近々導入予定の勤怠管理システムでも利用できるICカード社員証への切り替えが進行中だ。
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| 要所に設置されたネットワークカメラ。入退室時のチェックと同時に動画映像を撮影する。遠隔操作でパンやズームも可能だ。 |
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出入管理と映像監視のシステムを統合管理するサーバと管理・監視用PC。監視モニターから出入のログ解析まで容易に。 |


事前の入念な準備が奏功し、北工場のセキュリティシステムの運用はスムーズに動き出した。従前、自由に出入りできた環境から厳格な出入チェックの環境へと移行したことで、他の事業所社員から「別会社になったようだ」という声もあるという。これまでセキュリティ意識が浸透していなかった従業員の間にも確実にセキュリティについての認識が高まっている。松野下課長は、「北工場をモデルケースとして、今後、他の事業所にこうした仕組みを展開していきたい。セキュリティ対応工場というものがどういうものなのか、実際に体感し認識してもらうという意味でも、北工場は全社のモデルになると考えています」と語る。
今後の展開については、まずオフィス管理支援サービスの利用を開始する。また、今回の出入管理システムをベースにして、社員にIC機能を組み込んだ社員証を発行し、全社規模で勤怠管理システムの運用を近々開始する予定だ。
さらに、現在、ICカードに加えてUHF帯ICタグによる出入管理の可能性も検討している。これにより共連れをチェックするとともに、生産現場での人的な最適配置や実績との相関分析などに活用できるはずという。実現できれば国内でも最初のケースになる。また、拠点間の物流の把握に利用できないか検討している。同社では、今回のセキュリティシステムはファーストステップとして、これを契機にさまざまな可能性を追求するという。
和多田社長は、「今後とも、全社レベルでシステム面、意識面でのセキュリティ強化を推し進め、お客様に信頼し安心してもらえる体制を作り上げたい」と語っている。
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非接触式MIFARE(R)対応カードリーダ「VM-10AG」でICカードのデータを読み取り、16回線出入管理装置の入室許可登録データと瞬時に照合、合致すると入室記録が記録され、電気錠が解錠される。退室時には同様にこの入室記録を参照してドアが解錠される。入退室記録は蓄積され、構内LANに接続された管理用PCからリモートで参照できる。一連の動作は監視用ネットワークカメラで撮影・録画され、これも管理用PCで再生できる。
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ICカードを用いた出入管理システム導入により、社員や派遣社員、さらに取引業者のセキュリティ意識も格段に高まった。今後ICカードは勤怠管理にも活用される予定だ。 |
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